LeMans 24Hour

2019年6月15日。

CARGUYはこの日、ル・マン24時間の舞台『サルト・サーキット』を走った。

この日のために、2015年のLamborghini SuperTrofeoの舞台で広げた「CARGUY」という風呂敷の到達点は、その風呂敷を広げるきっかけを作った織戸氏を筆頭にした応援団たちも日本から駆けつけ、GT AM 5位入賞という殊勲打を残した。

 

予選。そしてレーススタート!

フリー走行から圧倒的な速さを見せていたケイ・コッツォリーノとコム・レドガー、そして二人のタイムに圧倒されることなく他をリードする好タイム見せる木村の3人のドライバー。

しかしそれは当然、簡単なことではない。

「普段は公道でもあるサルト・サーキットは、走りなれた日本の路面とは違う。初めて走るル・マンの景色に感動するのも束の間で、あとはABSの無いGTEとミューの低い路面で、どれだけブレーキを頑張れるか。その集中を一瞬でも切らすとランオフが少ないサルト・サーキットでは簡単に全損してしまう。」と木村。

「イケる。と思ってブレーキを1メートル我慢した。そしたら大スピンであわやクラッシュするところでした」とケイ。

そうして予選8位でスタートを迎えることに。表彰台を十分に狙えるポジションでのレーススタートとなった。

 

レーススタートは15時

チェッカーの24時間後の15時を目指してLMP1からスタートを切った。

AF CORSEのフェラーリのサポート体制という盤石の体制で臨んだル・マン。

ル・マンを手慣れたメカニックたちのサポートは、初めて走るル・マンというレースの中でドライバーに絶対的な安心感と、集中力を与えることができた。

日本からはるばる応援に駆け付けた応援団も、F1同様のフェラーリによるケータリングで快適に24時間を過ごすことが出来る。

「人一倍お客様が快適に過ごせているか? サーキットは暑すぎないかな? 食事は十分だろうか?」と逡巡する木村も、レースへ十分に集中することが出来るのだ。

 

スタート後に、応援団のT氏が誕生日を迎えられたため、サプライズで誕生日会を開催した。

バースデイケーキを木村から送られ、照れ笑いのT氏。

応援団からもドライバーへ寄せ書きのプレゼントが送られた。

様々な想いを乗せ、CARGUYのフェラーリ488GTEが、ル・マンを駆け抜ける。

 

@レース直前のCRAGUYエースドライバーの3人。

レースは順調に進み、木村は「2秒遅くてもいいから絶対にミスをせず、完璧に速く走り熟す」という無理難題を消化していく。

去年とは比べ物にならないくらい速さと正確な走りを得たケイはレースの最初にこう思ったらしい。

「24時間のロングスティントだというのに、他の車たちは一切の遠慮なしに縁石ギリギリでコーナーへ飛び込んでいく。まるでスプリントレースのような勢いだ!」

それほどまでにドライバーはチームが作ったマシンを信頼しているし、メーカーの魂が籠ったGTEマシンも、レースを組み立てるエンジニアたちも、全員が気持ちを一つにぶつかり合う格闘技がル・マンなのだと。

それでも過酷な24時間の中で10,000回以上のオーバーテイクの場面が繰り広げられ、夜にもなると徐々にリタイアするマシンが出てきた。

 

フランスの夜は暗い。

この時期、高緯度にあるフランスは22時頃まで日が落ちないが、一度日が落ちれば街灯のほとんどない郊外は暗闇に包まれる。

サルト・サーキットもグランドスタンド周辺こそピットやキャンパーたちの明かりが灯るが、郊外の公道区間でもあるミュルサンヌやアルナージュを繋ぐストレートは暗闇だ。

その暗闇を300キロ近いスピードで、それもスリーワイドや時にはフォーワイドに広がりコーナーへ飛び込まねばならないドライバーたちは、最も精神をすり減らす時間。

だがCARGUYはノントラブルで朝日を迎えようとしていた。

 

朝日が昇るころ、木村が再びコースへ出る。

「サルト・サーキットから昇る朝日は格別ですよ」という織戸氏の言葉を噛み締める時間だ。

 

順位も激しく入れ替わりつつ、表彰台も狙えるくらい僅差のポジションで周回していたCARGUYフェラーリ488GTEだったが、15時のチェッカーはコム・レドガーが6位でフィニッシュを迎えた。

 

チームや応援団の全員が団結して成し遂げた、ル・マンへの初挑戦、そして完走。

「CARGUY達」が集まって成し遂げた「CARGUY」の一つの到達点が『ル・マン』だ。

 

※レース後の車検で別のマシンに燃料系統のレギュレーション違反が発覚となり失格に。CARGUYは翌日、GT AM 5位に繰り上げとなった。

 

@エースドライバーとしてドライビングだけではなく、ネイティブな英語、フランス語を使いこなし、チームのマネジメントをやり遂げたケイ。

 

@CARGUY火付け役となった織戸氏は、国内で自身が参戦していたレースを調整して頂き、ル・マンへ駆けつけて頂いた。

 

しかし、レースが終わってみれば木村はこう言う。

「GT3と同じように見えるGTEのマシンは、GT3とは全くの別物です。その初めて乗るGTEと初めて走るサルト・サーキットはまるで、納車したてのスーパーカーで走る首都高のようでした」

この自動車を走らせ、心から楽しむスピリットこそが、我々CARGUYの本質なのだ。

 

Photo by Sugawara Takahiro