2024-25 ALMS R3 & R4 Dubai

2月6日~2月9日
ドバイ・オートドローム
UAE・ドバイ
CARGUY #57 Ferrari 296 GT3
Takeshi Kimura / Casper Stevenson / Daniel Serra
世界有数のハイレベルなコンペティションで貴重な1ポイントを獲得
ル・マン 24時間の参戦権を賭けて優勝を争うアジアン・ル・マンシリーズ(以下ALMS)。
今シーズンのALMSはスイスの名門チームでもあり長年木村と共にELMSでもタッグを組んでいるKESSEL と共にエントリー。ALMSではCar Guyのエントラント名で出走している。
木村にとって2年ぶりとなるドバイでのレース3、レース4の結果をお届けする。
PRACTICE
前回のレース2のクラッシュから車両も無事に修理が完了し、ドバイでのレース3、レース4に臨む。また、今回シルバードライバーで走行予定だったマッソンが怪我による欠場の為、WECでD’STATION RACINGから出走経験のあるキャスパー・スティーブンソンを代理で迎え、最終戦のアブダビまで戦うこととなった。
セパンでのレースを受けてフェラーリはBOP(性能調整)により重量が10Kg重くなっている。
修理後の初走行で木村はまずはコースに慣れる事からスタート。いつも以上に繊細なブレーキワークとアクセルワークが必要なテクニカルコースに身体を慣れさせていった。
PRACTICE1ではダニエル・セラがマークした1:59.414がチームのベストタイム。コーナーでのマシンの挙動にまだ改善できる余地があるのを確認してこのセッションを終えた。
PRACTICE2ではスティーブンソンが記録した2:00.663がチーム内ベストとなり、全体19位。マシンのセットアップが思う様に進まず、翌日の予選とレース4に向けてチームはドライバーミーティングでマシンの走らせ方やセッティングなどあらゆる情報を収集、議論してこの日を終えた。


QUALIFYING
1つの週末に2レース行うALMSでは予選のベストタイムがレース1のグリッド順位になり、2番目に速いタイム(セカンドベスト)がレース2のグリッド順位を決めるフォーマットとなっている。つまり、ここでは安定して速く走行する事が求められる。
この予選はジェントルマンドライバーのみで争われる。木村のベストラップは2:02.485、セカンドベストは2:02.551をマークした。この週末を通じてストレートスピードが伸びず、ブレーキも安定しない状況の中での懸命な走りを見せた。ベストタイムは25位、セカンドベストは20位という結果になった。
アジアン・ル・マン シリーズという名前だが、実際にはヨーロッパの強豪チームやシルバーに限りなく近いブロンズドライバーが凌ぎを削る戦いを繰り広げている。他のドライバーは事前にドバイ24時間を含む耐久レースへ参加してこの大会に向けて車両、ドライバー共に照準を合わせて来ていた。


RACE 1
レース1は27番手からポイントまであと一歩の11位まで追い上げる力走を見せた。
天候は晴れだが風による砂が多く舞い、コースの色が変わってしまうほどだった。
今回のプランは木村からスタートし、タイヤ交換と給油を経て第2スティントも連続して走行。第3スティントをシルバードライバーのスティーブンソン、第4スティントをセラが担当する事にした。レギュレーションでトータル3.5セットのタイヤしか使えないため、2回目または3回目のストップで片側2輪交換を予定してレースに臨む。
第2戦セパンのレースの際のペナルティにより3グリッド降格を受けてスタートはクラス27番手。木村のマシンはエンジンパワーに不安があり、路面とセッティングが合わずABSの作動も多くブレーキングにも不安を抱える状況だった。
82号車 AF Corse フェラーリは予選がクラッシュし車両全損のため出走が叶わなかった。フォーメーションラップで8号車 Dragon Racing フェラーリがグリッド上でストールの為か動けず。全車がグリッドを離れたのちにエンジン始動に成功しフォーメーションラップに合流し本来のグリッドへ復帰した。また、28号車 AF Corse フェラーリは燃料系トラブルによりピットスタートのため最後尾スタートとなった。これにより木村は26番手からスタートする事となる。
5周目にピットスタートだった28号車 AF Corse フェラーリが追い上げて来たため譲り27番手に。翌周、77号車 OPTIMUM マクラーレンがスロー走行でピットインし、木村の57号車 CARGUY は26番手に復帰する。続く7周目、 60 号車Proton ポルシェを抜いて25番手に。11周目には LMP2クラス2台に挟まれて接触があったか、88号車 Dragon Racing フェラーリがピットインして24位。20周目には42号車 Prime Speed ランボルギーニを抜き23番手に。25周目には 8号車 Dragon Racing フェラーリがクラッシュし22位と確実に順位を上げていく。


26周目には 2番手を走行していた81号車 WINWARD AMG がセーフティーカー(SC)を予測してピットイン。SC宣言発表の0.859秒前にピットインループを通過。しかしピット出口がクローズされてしまい周回遅れとなった模様。これで木村は21番手に上がる。
29周目、 60号車 Iron Lynx がSC 3周を超え、パスアラウンドが完了した上でピットエントリーがオープンした際にピットイン。その直後に赤旗が提示されレース中断となる。
赤旗中断に伴い、乗車時間規定の見直しが行われ、これによりブロンズスタートだった全車がレースリスタートのSC中にピットへ入りドライバー交代をすることとなる。
その後、赤旗は58分ほど続きSC後方でのレース再開となる。このSCラン中にピットエントリーオープンとなり、GT3クラスはピットに殺到する。
32周目で木村からスティーブンソンに交代し15番手でバトンを渡すことができた。ここからはSCでギャップが縮まった状態からシルバーとゴールド・プラチナのプロ勝負となる。
35周目に 19号車 Blackthorn アストンマーティンをパスし14番手。38周目、46 号車HERBETH ポルシェをパスして13番手に。しかし力走がたたったか、43周目にトラックリミットを4回してしまい警告旗が提示。
49周目には 2号車 CLIMAX AMGを追い抜き、12番手にまで浮上するも、ターン9でさらにトラックリミットをとられてしまいドライブスルーペナルティとなる。FCY明けの54周目に16号車 WINWARD AMG をパスして11番手にまで順位を上げた。


55周目にスティーブンソン自身のトラックリミット5回で与えられたドライブスルーペナルティを消化するべくピットロードを通過し、13番手まで後退してしまう。62周目にピットインし、セラにクルマを託した。この時点で残り50分。タイヤ4本交換と給油を行い、13番手でコースに戻っていった。
ストレートスピードが伸びない中でセラが懸命に走り続け、77周目に 27号車 OPTIMUM マクラーレンを抜き12位。80周目に 85号車 Iron Dames ポルシェがピットに入り11位まで復帰したが、84周目にチェッカー提示となり、11位でレース1を終える事となった。
RACE 2
レース2のランプランは昨日と同様、木村スタート、タイヤ交換と給油を経て第2スティントも木村が走行。第3スティントをスティーブンソン、第4スティントをセラが走行で予定を組んだ。
スタートはクラス19番手。前日のレース1に引き続きエンジンパワーに不安があり、路面とセッティングが合わずABSの作動が多くブレーキングにも不安を抱える状況だった。
レース1に続き予選でクラッシュした82号車 AF Corse フェラーリ、さらにレース1でクラッシュした8号車 Dragon Racing フェラーリの2台が出走できなかった。
シグナルグリーンでレースがスタートすると1周目に85号車が他車との接触で緊急ピットインし、そのまま戦線離脱。46号車 HERBETH ポルシェもダメージを受けた様子でピットイン。57号車CARGUY フェラーリ 木村 は21番手に交代。翌周には 77号車 Optimum マクラーレン と27号車 同じくOptimum マクラーレン が同士討ちでダメージを受けて緊急ピットイン。こちらも大きく遅れてしまう。23号車 Absolute フェラーリにパスされ20番手。
続く3周目にはこれらのクラッシュのデブリ除去のためヴァーチャルセーフティーカー(VSC)によるフルコースイエロー(FCY)が入る。
4周目。VSCのFCY 2周目となりGT3クラスは9台がピットイン。木村もピットインしスプラッシュ給油(短時間での給油)を行う。この判断が後に大きなアドバンテージを得る事になる。
19周目 木村はスタートの際に指定された位置よりコースセンター寄りを通っていたため後にドライブスルーペナルティが課されてしまい23位まで後退する事に。22周目に 46号車 HERBERTH ポルシェがドライバー交代の為ピットインし、木村は22位に。
26周目。このラップ以降、1回目のVSC/FCYで給油をしなかった車両達がピットへ向かい始めてポジションを一気に19位まで戻す事に成功した。32周目には 60号車 Iron Lynx ポルシェ がスティントタイム上限の65分に近づきドライブスルーした隙に18番手へ。33周目には同じく 51号車 AF Corse フェラーリ、89号車 EBM アストンマーティンの2台がスティントタイムと給油でピットインして16番手に。


ここで37周目には木村の操る 57号車 CARGUY フェラーリもスティントタイムと給油でピットインして19番手へ戻す事になる。
43周目、木村は1時間45分近くの走行を終えてピットイン。車体はドバイでの霧のごとく舞う砂埃にまみれ、前半にサバイバルレースと化したレースを木村が無事に生き残り、激走した様子を物語っていた。ここでスティーブンソンにステアリングを託し、21番手でコースに復帰した。
45周目、16号車のピット作業により20番手へ。翌周には42号車 Prime Speed ランボルギーニのリタイヤにより19番手へ。その後も他車のピットインで47周から56周の間に13番手まで順位を上げていく。
64ラップ目、 スティーブンソンの57号車 CARGUY フェラーリは予定されていたピットを終えて15番手でコースに復帰。その後も他車のピットインで13番手にまで浮上した上で74周目には 51 号車AF Corse フェラーリをコース上で抜き、それに続く上位勢のピットインにより9番手まで順位を上げて来た。前日のトラックリミット違反を強く意識しながらの着実な走りだった。
79周目にスティーブンはプラン通りのピットインでセラ選手に交代した。13番手でコースへ復帰したセラはエンジンパワーの不足やブレーキの不安定さをコントロールしながら87周目に28号車を抜き12番手、さらに89周目に60号車をパスして11位まで順位を上げてチェッカーフラッグを受けた。
このレース2で1位だった99号車 ポルシェはシリーズの年間参戦をしていないスポット参戦の為、ポイントの賞典外となり、57号車 CAR GUY フェラーリは1ポイントを獲得。参戦台数が27台と多い中、ポイントを確実に獲得していく事が重要となる。その意味でこの1ポイントも非常に貴重なものだと言えるだろう。
レース後、エンジンライフが近付いている事、エンジンオイルの減り方が通常よりも多い事から翌周のアブダビに向けてエンジンを交換する事を決定した。この週末にストレートスピードで伸び悩んだ点が解決に向かうのか…「世界的にもかなりのハイレベルなGTレース」とプラチナドライバーのセラに言わしめるALMSシリーズ。
次戦、最終ラウンドのアブダビへ向かう。
2024-2025 ALMS RACE CALENDAR

RESULTS
Session | Position | Best Lap | Driver |
Private Test 1 | P11 (of 29) | 2:00.219 | D. SERRA |
Free Practice 1 | P3 (of 28) | 1:59.414 | D. SERRA |
Free Practice 2 | P18 (of 28) | 2:00.663 | C. STEVENSON |
Qualifying GT | P25 (of 28) | 2:02.484 | T. KIMURA |
Qualifying GT (2nd Fastest) | P20 (of 28) | 2:02.551 | T. KIMURA |
Race 1 | P11 (of 24) | 2:00.040 | D. SERRA |
Race 2 | P11 (of 24) | 1:59.951 | C. STEVENSON |




















