2024 WEC R6 USA: Lone Star Le Mans

8月30日~9月1日
サーキット・オブ・ジ・アメリカズ “COTA”
アメリカ、テキサス州
Akkodis ASP Team #87 Lexus RC F LMGT3
Takeshi Kimura / Esteban Masson / José María López
路面温度50℃を超すアメリカ戦、サバイバルレースの中で6つ順位を上げる力走
8月30日~9月1日にアメリカ、テキサス州オースティンにあるサーキット・オブ・ジ・アメリカ(COTA)で4年ぶりに開催されたWEC第6戦『ローンスター・ル・マン』。練習走行時から路面温度50℃を超える灼熱の暑さの中、87号車Lexus RC F LMGT3のステアリングを握る木村は、エステバン・マッソン、ホセ・マリア・ロペスとともに6時間レースに臨んだ。
決勝レースでは同クラス18台中5台がチェッカーフラッグを受けられないサバイバルレースとなる中87号車は17番手スタートから着実な走りを見せ、最終的に11番手までポジションを上げることに成功。前戦のブラジル戦に続き入賞まであと一歩の所まで迫る力走を見せた。
PRACTICE
1回目のフリー走行でチームは車輌のセットアップの確認を主な目的にセッションをスタートさせる。木村にとって初となるCOTAでの走行は外気温32.1℃、路面温度50℃という灼熱の暑さの中での走行となった。決勝までこの酷暑は続き、全ドライバーを苦しめる展開となる。木村は2:12.935というタイムでフリー走行1を終えた。
2回目のフリー走行でチームは決勝レースを意識したセッションを行う事を決定する。木村はこのセッションでロングランペースの確認をチームから任される。チームはこのフリー走行でタイヤのデグラデーションの確認も行い、木村は課されたオーダーをこなしつつ、2:10.243というタイムでセッションを終えた。
このセッションでのベストタイムはマッソンが記録した2:05.868で、これはクラス全体の4番手となるタイムだった。


翌日、予選前最後のフリー走行で木村は中古タイヤで出走。感触を確かめた後予選のセットアップを施した車輌で新品タイヤのシミュレーションを行いながら16周を走行。このセッションでの木村のベストタイムは2:07.639と前日のフリー走行1から5.296秒上げて予選に備える事となる。
チームはこの3回のフリー走行から、セクター1・2にレクサスの強みがある事を掴む。その中でも木村のセクター1での走行は他のプロドライバーも注目するほどのスピードを誇っていた。
QUALIFYING
ハイパーポール進出を賭けた予選走行。開始から果敢にアタックを仕掛ける木村。3周目と4周目はトラックリミットによりタイムを抹消されてしまったものの、木村の強みはプロドライバーに迫るセクター1とセクター2の速さにあった。木村は自身初となるコースで5周目に2:08.153をマーク。決勝は17番グリッドから追い上げを目指す事となった。
向上心の強い木村は走行後、マッソンとロペスへセクター3の攻略法を確認。翌日の決勝に備えこの日を終えた。


RACE
チームは木村をスタートドライバーとして2スティントを走行した後、マッソン、ロペス共に2スティント走行。最後にマッソンが残り1スティントを走行するプランで決勝に挑む。
グリッド上は同クラス全車ブロンズドライバーでスタート。
レコノサンスラップで54号車(Vista AF Corse Ferrari 296 LMGT3)がクラッチトラブルによりコース上でストップ。ピットに戻って来たものの修復に時間がかかりスタートには間に合わなかった。
6番グリッドの54号車を欠いた17台でレーススタート。87号車は奇数列イン側の17番グリッドからスタートする事となる。
1周目のバックストレートで木村は3台抜くがブレーキングでオーバーシュートしコースアウト。クラッシュを避けてオープニングラップを17番手で帰ってくる。前方を走行する60号車(Iron Lynx Lamborghini Huracan LMGT3 Evo2)に詰まってしまうが、3周目ターン16でハイパーカーにオーバーテイクされる際に60号車を攻略し、3周目を16番手で帰ってくる。


その後前方を78号車が走行。8,9周目には差を詰めるものの、その後は徐々に差が広がる苦しい展開となる。第1スティント終了も近い23周目には、後方15番手を走る77号車(Proton Competition Ford Mustang LMGT3 )まで34秒差となる。
第2スティントは5台がシルバードライバーに交代した。あまりの暑さにブロンズドライバーの体力が持たないためこの戦略を取るチームがある中、同じくブロンズドライバーの木村は予定通りダブルスティントを敢行。容赦なくドライバーに襲いかかる暑さの中、何度も心が折れそうになりながらも木村は無事にスティントを終えマッソンへ繋いだ。
第3スティントで87号車は4輪を新品タイヤに交換。故障によりクールスーツが効かなくなり、暑さがドライバーを苦しめ続ける中でもマッソンは好ペースをマーク。
チームはプラン通りマッソンでダブルスティントを走行する事を決断した。
第5第6スティントはロペスに交代し、4輪新品タイヤに。ロペスのスティント中盤からやっと路面温度が下がり始めた。前スティントに続き、クールスーツ、ヘルメットダクト、エアコンが機能低下する中で78号車との差はスティント後半に75秒まで縮み、更に78号車がテクニカルペナルティで5秒ストップを行ったことで差を35秒程度まで迫ることができた。
最後の第7スティントは再びマッソンが担当する事となる。4輪を予選中古タイヤに交換しコースイン。引き続き猛烈な暑さの中で走行するが、前スティントでロペスに課されたドライブスルーペナルティを消化。そのため再び78号車との差は60秒程度に広がってしまう。


最終的に18台中3台がリタイア、2台がコース復帰の叶わないサバイバルレースとなる中で87号車は着実に周回を重ね11番手まで順位を上げてフィニッシュすることとなった。
前戦のブラジル戦に続き惜しくもポイント獲得とならなかったが、チームはシーズン最終章に向けて車輌のポテンシャルを確実に引き出し続けている。
次戦、WEC第7戦は木村の本拠地でもある富士スピードウェイで9月13日~15日に開催される。富士の走行経験がないドライバーを抱えるライバルチームをどこまで翻弄する事ができるか。木村、そしてAkkodis ASPチームの挑戦に注目して欲しい。

RESULTS
Session | Position | Best Lap | Driver |
Free Practice 1 | P14 (of 18) | 2:08.079 | J.M. LOPEZ |
Free Practice 2 | P4 (of 18) | 2:05.868 | E. MASSON |
Free Practice 3 | P8 (of 18) | 2:05.792 | J.M. LOPEZ |
Qualifying LMGT3 | P17 (of 18) | 2:08.153 | T. KIMURA |
Race | P11 (of 13) | 2:05.863 | E. MASSON |




















