2024 WEC R7 Japan: 6 Hours of Fuji

8月30日~9月1日
富士スピードウェイ
静岡県小山町
Akkodis ASP Team #87 Lexus RC F LMGT3
Takeshi Kimura / Esteban Masson / José María López
ホームコースで迎えた富士戦、
果敢な走りを見せるも接触によるダメージで勝負権を失う
9月13日~9月15日に静岡県、富士スピードウェイで開催されたWEC第7戦『6 HOURS OF FUJI(富士6時間耐久レース)』。言わずと知れた木村のホームコースである。87号車Lexus RC F LMGT3は前戦のアメリカ戦に続き、木村武史、エステバン・マッソン、ホセ・マリア・ロペスにて6時間レースに臨んだ。
車輌のセッティングが富士のコースにフィットし、決勝レースでは一時入賞圏内にまで登り詰めたが、レース後半の攻めた走りによるペナルティが課され12位という結果となった。しかし特筆すべきは木村がプロと遜色のない好ペースで走行し、チームは勿論の事、レース関係者も目を見張るほどの走りを見せたことだった。
PRACTICE
前戦アメリカ戦でのフリー走行1ではチームは木村に新品タイヤを履かせて車輌のセットアップの確認を行なっていたが、富士ではマッソン(新品) → ロペス(中古) → 木村(中古)と富士での経験が豊富な木村に最も古いタイヤで走らせる事とした。タイヤ無交換でバトンを渡されたこのセッションで木村は、1:44.243を記録し2回目のフリー走行を迎える事になる。
2回目のフリー走行でチームはトラックリミットを意識し、特にターン3、13、15、16を意識して走行する事に。チームはこのセッションでも木村に最終走行を任せ、ロペス(新品) → マッソン(新品) → 木村(中古)の順で臨んだ。木村はこのセッションでも中古タイヤながら1:43.531をマークし、ホームコースでの初日を終えた。


この2回のセッションはドライバー達に多くの意見をもたらし、この日のドライバーミーティングは翌日以降のセッティングや富士での車輌の走らせ方について1時間以上に渡って意見交換が行われた。
翌日迎えた3回目のフリー走行は、前2回の90分のセッションとは異なり60分のセッションとなる。その事からチームはこの走行を木村とマッソンに任せることとした。
木村はこの日初めて新品タイヤで走行。
前日のミーティングで車輌のセットアップの方向性が決まり、木村はインラップの時点で無線を通じて「全く異なるマシンの様に良くなっている」とコメント。
木村は約40分を走行し、ベストタイムは1:42.226と前日のフリー走行1から1.305秒上げて予選を迎える事となる。実はこの3回目の走行では前日に100Rの走らせ方をロペスから教わり、それを実践した結果ベストタイムを更新することに成功したのであった。
QUALIFYING
ハイパーポール進出を賭けて争われる予選走行。予選開始後他のドライバーはベストラップとその他のラップのタイムにバラつきがある中で、木村は安定したタイムを出していた。コース上には緩急つけた車輌が入り混じり、クリアラップを取ることが難しい状況が続く。計測可能な時間が迫る中のアタック3周目、セクター1、セクター2共に自己ベストを刻む木村。しかしセクター3で前方の車輌に引っかかってしまい、1:41.850でチェッカーフラッグを受けることに。
18台中11番手タイムで予選を終えることとなったが、セクター毎のベストラップを繋いでいくとプロと遜色のないタイムだっただけに非常に悔しい結果となった。しかし、前日のドライバーミーティングから導き出したセットアップは抜群にハマっていた。木村はこの日、翌日のレースでは勝負ができる予感を感じ取っていた。


RACE
チームは木村をスタートドライバーとして起用。前戦のアメリカ戦と異なるのは、今回は2スティントの連続走行ではなく第1スティントと第3スティントを木村が走行するプランに変更したことだった。
87号車はLMGT3クラス全18台中11番手からスタートした。レース開始直後の2周目のターン1でハイパーカークラス車輌の接触が起き、パーツがコース上に散乱する事態となる。これを受け、すぐさまSC(セーフティーカー)が導入される。
9周目のレース再開後、レーススタートから20分を経過した時点で59号車と95号車(共にUnited Autosports McLaren 720S LMGT3 EVO)もターン1で同士討ちとなる接触。これにより87号車は順位を1つ上げて10番手となる。その後も木村は安定した走りを見せ、同チーム78号車のLexus RC F LMGT3 をパスし9番手まで浮上する。木村は渾身の走りで32周を走りきり、マッソンへバトンを繋いだ。


第2スティント、マッソンはコース上にまだピットインを行わない車輌を含めた14番手でピットアウト。しかしその直後、2台のハイパーカーに挟まれしまい行き場を失ったまま接触。右フロントバンパーが破損してしまう事態となる。その結果フロントのダウンフォースを失い勝負権がなくなってしまった。
87号車は大幅に順位を落としたが、それでもポイント圏内の9番手までポジションを戻して見せた。その後8番手まで浮上するとVSC(バーチャルセーフティーカー)が導入される展開に。このタイミングでチームはマッソンから木村にドライバーを交代する事を決定。マッソンが担当したのはわずか13周となり、木村は再びコースに戻った。破損したフロントバンパーはテープで補強しただけの状態だった為、ダウンフォースを失いアンダーステアが強くなっていた。
第3スティント、木村は11番手から6番手まで浮上し再びマッソンへ交代。
マッソンの力走後、続く第5、第6スティントをロペスが担当する。ダウンフォースを失った車輌で懸命にプッシュする走りを見せるロペス。驚異的なペースで走行を続けたものの、2度に渡るペナルティを課されてしまう。


その後最終スティントをマッソンに託すも、ポイント圏内にまで戻す事は出来ず12番手でチェッカーフラッグを受けることとなった。
今回はLexus、そして木村にとってのホームコースであっただけに何としても上位を狙うべく尽力したが、序盤に受けたフロントのダメージが最後まで仇をなす結果となってしまった。これがレースと言ってしまえばそれまでだが、悔しさの残る一戦となった。
次戦は2024年WEC最終戦バーレーンを迎える。美しいトワイライトレースでもあり、このコース特有の細かな砂がドライバーを悩ませるレースでもある。
2024年シリーズのラストレースは10月31日から11月2日(土曜日)までバーレーンインターナショナルサーキットにて開催される。
木村とAkkodis ASP Teamの今シーズン最後となる闘いに熱い声援を送ってほしい。

RESULTS
Session | Position | Best Lap | Driver |
Free Practice 1 | P11 (of 18) | 1:41.170 | E. MASSON |
Free Practice 2 | P5 (of 18) | 1:40.995 | J.M. LOPEZ |
Free Practice 3 | P16 (of 18) | 1:42.266 | T. KIMURA |
Qualifying LMGT3 | P11 (of 18) | 1:41.850 | T. KIMURA |
Race | P12 (of 17) | 1:41.659 | E. MASSON |
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