2024 WEC R8 Bahrain: 8 Hours of Bahrain

10月31日~11月2日
バーレーン・インターナショナル・サーキット
バーレーン・サヒール
Akkodis ASP Team #87 Lexus RC F LMGT3
Takeshi Kimura / Esteban Masson / José María López

好ペースで走行するもトラブルによりリタイア
しかしながらチーム力は格段に向上

灼熱のバーレーンで迎えたWEC2024年シーズンの最終戦。このコースは暑さと砂に悩まされる上、8時間という長丁場のレースとなるため各チームは対策を講じる。87号車のAkkodis ASPは今シーズン最後のレースということあり、集大成を見せるべく気合が入る。

PRACTICE

正午過ぎに始まった90分間のフリー走行1は、まずはロペスから走行をスタートさせる。

コースインして4周目に2:03.178のベストタイムを記録。その後マッソン、木村の順で走行しマシンとコースの感触を確かめる。

ロペスが記録したタイムはクラス全体の6番手となり、また、同チームの78号車はクラストップタイムの2:02.079を記録したことからLEXUS RC F LMGT3とこのコースの相性は悪くないように思えた。

木村はこのセッションでロングランをおこないレースを想定したプランをこなしたが、レースがスタートする14時は気温が高く、スタートを担当予定の木村は厳しいレースになると感じた。

夕方17:30から始まった2回目のフリー走行。この時間になると陽も落ち、気温が低くなる。

マッソンから走行を始め、5周目で新品タイヤに交換。タイヤ交換後はすぐにタイムが上がり、9周目にはこのセッションでクラストップタイムとなる2:02.246を記録。

フリー走行1とフリー走行2を通じて、新品タイヤに交換後の数周は好タイムで走行できるが、タイヤの消耗はかなり激しく長時間の走行はペースを維持するのに難しくなると推測された。

予選前最後の走行となるフリー走行3は、木村の予選を想定したシミュレーション走行を行う。

前日までの2回のセッションで木村は走り方を習得し、このセッションでは2分5秒台で周回を重ねることができた。このセッションでのマッソンやロペスのタイムを見ても木村のラップタイムと大きな差はなく、木村が車輌の特性と走らせ方を熟知しているのは明確だった。

QUALIFYING

12分間に渡っておこなわれる予選。気温は28度、路面温度は34度で強い日差しはあるものの乾燥した風が心地よい天気となった。

木村はセッション開始後すぐにコースイン。他車に邪魔されることなく走行でき、3周目に2:04.790、4周目に2:04.666と初めて2分4秒台のタイムを記録した。しかしこの2周の記録がトラックリミットにより抹消されてしまう。

その後もコンスタントに好タイムを記録し、最終的に最終ラップで記録した2:04.772が予選のベストタイムとなり、クラス17番手で予選を終えた。

順位こそ17番手となったが、今シーズン一番納得できる予選になったとチーム、木村共に喜んだ。

RACE

気温が最も高くなる14時からレースは開始される。この日のスタート時点での気温は33度、路面温度は42度に上り過酷なレースになると予想された。

スタートは木村が担当。スタート直後大きなクラッシュ等はなくクリーンなスタートを切った。

木村は好調なペースを見せ、6周目で前方を走行する777号車Aston Martin Vantage AMR LMGT3をオーバーテイクし1つ順位を上げる。

その後も16周目に88号車Ford Mustang LMGT3をオーバーテイクし、これで順位を15番手まで上げる。

ブロンズドライバーの最低乗車時間は2時間20分。チームは木村のスタート後、2スティント連続で木村を走らせる予定だったが、路面温度が高くタイヤの消耗も激しいためか後半でペースが落ちてきたためプロドライバーに交代し、前方車輌とのギャップを縮める作戦をとった。

木村は24周目でピットインし、マッソンに交代。好調に順位を上げ、49周目に木村へ再度交代した。木村はプロドライバーと遜色ないペースで走行を続け、これまでにないほど集中して走行ができたと走行終了後に述べていた。

マッソン、ロペスと走行を続け、一時は9番手まで順位を上げたがピット作業で時間を要してしまい順位を落としてしまう。さらに95周目ロペスの走行中には99号車のハイパーカーに接触。右フロントタイヤをパンクしてしまった。これにより87号車はトップを走る車輌から周回遅れになってしまった。

緊急ピットインし、タイヤ交換をするもペースは上がらず。木村は理想の形でバトンを受け取れなかったが、残りの乗車時間好タイムを刻みながらきっちりとこなし木村は2024年シーズンの最後の走行を終えた。

その後マッソンの走行中、177周目にアクセルセンサーのトラブルにより車輌をストップさせる。レースへの復帰は不可能とチームは判断し、WEC2024年シーズン最終戦はリタイアという残念なかたちで終えることとなってしまった。

木村はシーズンを振り返りこのようにコメントを残す。

「ELMSはFerrari 296 LMGT3でフル参戦し、WECは過去に乗ったことがないLEXUS RC F LMGT3でのフル参戦。2台の異なる車輌で様々なコースを走行し、とてもチャレンジングな1年であったがこれまでにないほど自身の成長につながったと思う。

また、ラウンドを重ねるごとにチーム力も上がっていったと実感した。この貴重な経験を来シーズン以降に活かしていきたい。」

このラウンドをもって木村の2024年シーズンが終了した。

来年の木村の活躍に、引き続き注目していただきたい。

2025 RACE CALENDARS
RESULTS
SessionPositionBest LapDriver
Free Practice 1P6 (of 18)2:03.178J.M. LOPEZ
Free Practice 2P1 (of 18)2:02.246E. MASSON
Free Practice 3P12 (of 18)2:04.955J.M. LOPEZ
Qualifying LMGT3P17 (of 18)2:04.772T. KIMURA
RaceRET2:04.616J.M. LOPEZ