2024 ELMS R5 Mugello

9月26日~29日
ムジェロ・サーキット
イタリア、トスカーナ州
Kessel Racing #57 Ferrari 296 LMGT3
Takeshi Kimura / Esteban Masson / Daniel Serra

KESSEL RACING 華々しい連勝
最終戦を残しチャンピオンシップのトップに立つ

大荒れのELMS初開催ムジェロ。8番手スタートから大逆転勝利でシリーズチャンピオン争いトップに。

前戦のベルギー スパ大会を優勝で飾ったKessel Racing。その勢いは止まらず、残す2戦のうちの1戦であるイタリアの名門コース、ムジェロサーキットに闘いの場所を移す。シリーズ優勝の可能性を残した57号車 Kessel Racingは、フェラーリが所有するこのコースを駆け抜けていく。

TEST DAY

MotoGPのコースとしても有名なムジェロサーキット。イタリア・トスカーナ州の風光明媚な丘陵地帯の中に作られただけに高低差があり、終始連続した中高速コーナーでドライバーは休む間もなくステアリングを右に左にと動かしていく。ドライバーにとって肉体的にもタフなコースでもある。

多くのドライバーにとって初めて経験するコース。それは57号車の3名のドライバーも同様で、午前のセッションではまずはコースの感触を確かめていく。

LMP2、LMP2プロ/アマ、LMP3、LMGT3という4クラス混走状態の緩和策として、このセッションの最後の15分間はLMP3とLMGT3のみの走行枠となった。

チームはこの最後の15分間の走行を木村に担当させ、じっくりとコースに慣れてもらうこととした。

中古タイヤ→新品タイヤと両方のタイヤで走行。新品タイヤへ交換後、アウトラップ後1周目に1:50.184の自己ベストタイムを記録し午前のセッションを終えた。

午後のセッションは午前とは逆にLMP3とLMGT3が最初の15分を専有走行することとなる。木村は新品タイヤでセッションをスタートさせたが、車輌のオーバーステアによりムジェロの連続する中高速コーナーでの走行は困難を極めた。

このセッションでの木村のベストタイムは1:50.287だった。

PRACTICE

フリー走行1では、まずはセラがステアリングを握る。しかし早々にFCY(フルコースイエロー)が導入されたため走行時間が削られてしまう。

その後マッソン、木村と走行を続けたが、このセッションでのベストタイムはセラが記録した1:46.583だった。このタイムはLMGT3クラストップタイムとなり、チームはレースへの期待を寄せる。

チームは当初、ロングランをした後予選シミュレーションを行う予定だったが、降ったり止んだりの雨のためプランは計画通り進まなかった。しかしセラの記録したクラストップタイムを見ると、コースとFerrari 296 LMGT3の相性は悪くないと伺えた。

ブロンズテストでも激しい雨が降り続く中、チームはウェットタイヤで走行することを決定。雨での走行経験があるマッソンから雨天時の走らせ方のレクチャーを受ける。ウェット走行が得意な木村は、オーバーランする車輌が続出する中無傷でセッションを終える。

木村はこのセッションで2:12.432を記録。これは全ブロンズドライバーの中で3番手のタイムだった。

フリー走行2、セットアップの方向性も見えてきた。まずは木村からのスタート。路面は若干のウェットで路面温度は15度、この3日間で最も低い温度となった。

そのため前日のセッション同様コースアウトする車輌が続出し、またもやFCYが導入され木村の走行時間は削られてしまう。

12周目にピットインし新品タイヤに交換、木村は予選シミュレーションを開始する。タイヤが温まってきた16周目、木村はこの週末ベストタイムとなる1:49.154をマーク。しかしこのタイムは最終コーナーで他クラスの車輌がレーシングラインに入って来てしまった為で、木村の走りであれば1:48.500への期待値もあっただけに消化不良の結果となった。

QUALIFYING

この日の気温は23度、路面温度は33度。アタックラップ1周目で1:49.561というまずまずのタイムを出す。ここでチームから木村にピットインの指示が入る。他のチームがアウトラップ→ ウォームアップ→ アタックラップでピットインすると予想し、早めに木村をピットインさせたのだ。新品タイヤに交換後、他車輌に邪魔されない中でアタックラップに入る。しかしトラックリミットに配慮した走行を続けていたため、ベストタイムは1:49.443に留まった。この結果から翌日のレースは8番手からスタートすることが決まった。

予選終了後木村は「一発の早さはないかもしれない。けれどもタイヤへの攻撃性がフェラーリは低い可能性があり、レースではひょっとすると良い線にいけるかも知れない」とコメントした。

RACE

この日の朝の天気は濃霧であったが、11:30のレーススタート時には清々しい秋晴れとなり、路面も完全にドライになった。

チームは木村のスタート後、2スティント連続走行させることにした。その後マッソンとセラに繋ぎ4時間を戦い抜く戦略だ。

木村は1.5周した中古タイヤでスタート。タイムを上げるために攻めた走りをすると、トラックリミットになってしまうことを分かっていたため守りに徹した走りを意識する。

木村はスタートで1つ順位を落としてしまったが、徐々に前車との差を詰めていき、1回目のピットインの頃にはスタート時と同じ8番手に順位を戻すことができた。

続く2スティント目、木村はセクター2の自己ベストタイムを更新。安定した走りを見せ、7番手まで順位を上げ自身のスティントを終えた。

マッソンに交代後、幾度もSC(セーフティーカー)やFCYが導入される。ほとんどの車輌はT8アラビアータでアクシデントを起こしていた。しかしそのおかげで前方車輌とのギャップも縮まり、マッソンのスティントでは上位入賞の可能性も伺わせる。

レース残り時間1時間45分頃、SC明けすぐのホームストレートで前方を走行していた60号車 Proton Competitionに85号車Iron Damesが後方から接触。コンクリートウォールをも破損する大きなクラッシュで、レースは赤旗中断となった。

マッソンの目の前でこのクラッシュは起きたが、持ち前の反射神経で軌跡的に接触を回避することができた。

レースコントロールはレース終了時間を20分延長。再開後のレース残り時間は1時間30分とアナウンスされた。

レース再開後もクラッシュが多発。チームは69周目に給油のみのピットストップを行う。これが後に功を奏すことになる。

86周目、セラに交代。ピットを出たタイミングで2番手まで浮上した。度重なるSC導入、チームの戦略がハマり遂に優勝が狙えるポジションまで順位を上げることに成功。

残り時間30分、前方を走る97号車 Aston Martin Vantage AMR LMGT3との差は約3秒。セラはじわじわとギャップを縮める。

チームと木村が代表を務める(株)ルーフと(株)カーガイの社員もテレビ越しで見守る中、残り6分のところで遂にセラがT1でミスのないオーバーテイク。大逆転に成功した。

残りの周回をセラはトップを守り続けチェッカーフラッグを受けた。

予選こそ歯車が合わず順位を伸ばせなかったが、レースではチーム力と車輌の可能性を最大限に発揮することができた。

これで前戦のスパに続き2連勝を果たす。ELMSで連勝する実績は過去のELMSの歴史を見てもさほど多くない。チームは歴史的な勝利を収めたのだ。

この大会を終えてシリーズポイントランキングは59号車と同一1位となった。

シリーズ優勝を懸けた2024年最後のレース第6戦は10月19日、ポルトガル南部のポルティマオで行われる。

今シーズンの集大成をぜひ見守っていただきたい。

RESULTS
SessionPositionBest LapDriver
Test Day – MorningP7 (of 11)1:48.584E. MASSON
Test Day – AfternoonP6 (of 11)1:47.447D. SERRA
Free Practice 1P1 (of 11)1:46.583D. SERRA
Bronze TestP3 (of 11)2:12.432*T. KIMURA
Free Practice 2P3 (of 11)1:47.266D. SERRA
QualifyingP8 (of 11)1:49.443T. KIMURA
RaceP1 (of 9)1:47.813D. SERRA
* WET
STANDINGS
PositionTeamTotal Points
1 57 Kessel Racing64
259 Racing Spirit of Leman64
386 GR Racing56
463 Iron Lynx51
597 Grid Motorsport by TF50
651 AF Corse47
785 Iron Dames46
850 Formula Racing44
955 Spirit of Race39
1060 Proton Competition24
1166 JMW Motorsport10