2024 WEC R1 Qatar: Qatar 1812 KM

2月26日~27日、2月29日~3月2日
イモラ・サーキット 
イタリア、イモラ
Akkodis ASP Team #87 Lexus RC F LMGT3
T. Kimura / E. Masson / J.M. Lopez

苦しいWECレクサスデビュー戦
次戦に期待

2024年の世界耐久選手権 (WEC)は、機材やレース車輛を乗せた貨物コンテナ57台の到着が遅延するトラブルの中始まった。貨物コンテナはカタール・ルサイルインターナショナルサーキットから1,500キロ以上離れたサウジアラビアのジェッダにて荷下ろしされ、やむを得ずサーキット迄トラックで運ばれることとなった。これにより、プロローグのスケジュールは2日間延期され、レースウィークが始まるまでの休息日は1日のみとなってしまった。

変更されたスケジュールにより、各チーム予定されていた準備が整わないままセッションはスタート、フランス出身の19歳ドライバー、エステバン・マッソンがドライブする87号車のLexus RC Fはスタートから速さを見せ、セッション中クラス全体の3番手タイムを記録した。 しかし車輛はトラブルを抱え、レギュレーションで許可されている値を60kW(82PS)も超えて走行していたのであった。

87号車はプラチナドライバーのホセ・マリア・ロペスに交代後、セッション後半でクラストップの出したタイムの2.5秒以内(1:56.942)に迫ることができたが、他車と比べても明らかにタイムは遅く、同チームは改善を要された。

テスト2 日目、電気的なトラブルも発生し、走行時間を大幅に失うことに。この3時間に及ぶプロローグ3回目のセッションでは、他のほとんどの車輛は60周以上を走行していたにもかかわらず、87号車はロペスの走行した15周のみとなってしまった。

プロローグの4回目、マッソンは周回を刻むごとにペースを上げ、LMGT3クラスでは5番手タイムの1:55.429を13周目に記録した。

マッソンから木村に代わり16周を走行し感触を確かめた後ロペスに交代したが、ロペスは車輛に慣れるまで苦労したためトラックリミットを多く取られ、ドライブスルーペナルティを受けることになった。
 
最後に木村は予選シミュレーションを行い、3週目のアタックで自己ベストタイム1:57.874を記録した。
このセッションで87号車は5番手、同チームのLexus RC F 78号車は3番手でセッションを終えた(12台中)。

1回目のセッションで87号車の各ドライバーは1スティント9~10周を走行したが、セッション中の2度に渡る赤旗により計画していた走行プランを遂行することができなかった。

同車のドライバーは、「前日のテストからフリー走行までの間にセットアップを変更したが、期待したような改善は見られなかった」とコメント。

夕方から行われた2回目のセッションでは再度セットアップを変更した後、車輛のチェックのためマッソンが走行。その後中古タイヤを履いたまま木村に交代し、8周を終えたところでピットインし新品タイヤに交換。最終的に木村は1回目のフリー走行のタイムより0.4秒速いタイムを記録することができた。セッション終了後、木村は「加速時の過度のアンダーステアにより車のコントロールが難しくなった」と語った。

2/29(金)朝のフリー走行3回目はロペスがステアリングを握ってスタートした。ロペスは赤旗が出る前に1:56.761を記録し、赤旗後木村に交代。ここでは新品タイヤを履いてアタックを行い、このセッションでのベストタイム1:57.407を記録した。

前日の車輛の状態からは改善されているものの、予選に向けては更なる改善が必要だった。

今シーズン初の予選は快晴、気温21度、湿度48%、路面温度31度というコンディションの中始まった。
木村のドライブする87号車は2周目で一時的にトップタイムを記録。その後3周目で同チームの78号車を運転するアーノルド・ロビンがトップに浮上したが、続々と他車のタイヤに熱が入るに連れアーノルドが記録したタイムを上回っていった。

87号車は全体のトップ10から1.5秒遅いタイムを出すことしかできず、ハイパーポールへ進むことはできなかった。

最終的に予選結果は16番手、同チームの78号車は15番手で翌日の決勝のグリッドが確定した。

決勝当日、87号車はグリッドに着く直前エンジンがかからないというトラブルが発生。幸いにもピットレーンが閉じる前に数分余裕があったため、チームは何とかピットレーンが閉じる前に車輛を発進させることができた。

無事にレースはスタートし、木村は好スタートを切ったものの60号車アイアンリンクス・ランボルギーニに1つポジションを奪われてしまった。しかし木村のペースは良く7周目で60号車をオーバーテイクすることに成功。25周目で1回目のピットストップを行い、ドライバーを木村からマッソンに交代。この時多くのブロンズドライバーが2スティント目を走行中だったため、マッソンへ交代後は続々と他車をオーバーテイクし一時は7番手まで追い上げた。その後77周目でピットインし、再度木村へ交代した。

しかし、マッソンが走行中に起こしたFCY減速違反とコース外からの追い越しにより、木村は10秒加算のペナルティとドライブスルーペナルティを消化しなくてはならなかった。それでも木村の2スティント目が終了する時点でも11番手を走行していた。

レース開始から3時間半が経ちロペスのスティントになったタイミングで、チームはロペスの2スティント目で半分中古、半分新品のタイヤを履かせるという戦略を試みることに。この戦略でトップ10フィニッシュを目指すことにした。

レース中盤に差し掛かり木村の3スティント目に入った。しかし木村に交代後すぐにフロントブレーキが正常に作動していないと報告があった。ブレーキトラブルが発生したため、チームは悔しくも車輛をピットインせざるを得ない状況となり、87号車は35分以上もガレージに留まることとなった。

修復作業終了後はマッソンが車輛に乗り込みコースに戻った。コース復帰後マッソンは好ペースで走行を続けたため同チームはマッソンにダブルスティント走らせることにした。

その後木村に交代したが、この時点でコースのタイヤカスは大量に蓄積され、木村はハイパーカーに追い越しをさせる度にピックアップを拾いグリップ力を失っていた。ブロンズドライバーの最低運転時間を消化するとすぐに、同チームは車輛と木村の安全を考慮しロペスに交代することにした。

コース復帰後は最下位を走行していたが、同チームの78号車が249周目にエンジントラブルでリタイア、また他車のリタイア等もあり最終的に87号車はクラス16位で完走した。

チームは厳しいレースを強いられたが、初レースで10時間という長丁場を完走できたことは大きな収穫となった。チームは再度体制を整え、来る4月21日のイモラでのレースに備える。

Photos by Sergey Savrasov and Harry Parvin

SessionPositionBest LapDriver
Free Practice 1P17 (of 18)1:57.146J.M. LOPEZ
Free Practice 2P17 (of 18)1:56.687E. MASSON
Free Practice 3P16 (of 18)1:56.761J.M. LOPEZ
QualifyingP16 (of 18)1:57.920T. KIMURA
RaceP16 (of 16)1:55.170J.M. LOPEZ